電気代の高騰、収益性が高いイーサリアムのPoS化に伴い、暗号資産マイニングのほとんどが採算が合わなくなりました。徹底を余儀なくされた日本人マイナーも大勢いるのではないでしょうか?
そんな中、なんと『8W』でマイニングができるというShirushiMiner(しるしマイナー)が注目されています。最新のグラフィックボードRTX4090の消費電力が450Wなので、1/50以下に抑えられていますね。
果たしてこれで採算が合うのか、合うとしても今後継続して収益が出るのか?
今回は筆者が実際にしるしマイニングをやってみたので、そのレビューをしていきたいと思います。
※なお本記事はあくまで個人的な見解が混ざっているもので、投資助言をするものではございません。予めご了承ください。
目次
しるしマイナーとは
しるしマイナーとは、しるし株式会社という日本の会社が開発したマイニングマシンです。
しるし社の代表は、暗号資産取引所であるDecurret出身、かつマネックス証券のグループ長であったこともあり、Financeに関して幅広く知識を有している方です。
2017年に会社設立した後、GPUのマイニングマシンを製造&販売し、現在はマイニングマシンを自社で開発し、販売しているといった背景があります。
Shirushiマイナーは、企業サーバーの採用率が高いOSであるCentOSを搭載しており、手のひらほどの小型の機器です。このマイニングマシンに、LANケーブルを差し込み電源を入れることで暗号資産『SISC(Shirushi Coin)』のマイニングが開始されます。
ただし、マイニング報酬はBNBまたはETHで払い出しとなります。
「マイニングするコインはSISCなのに払い出しの通貨が違うのはどういうこと?」と思われた方もいると思います。詳しくは後述しますね!
Shirushi Coin(SISC)
しるしマイナーでマイニングできるSISCとはどのようなトークンなのでしょうか?
SISCは総発行枚数が2億枚と発行上限が決まっており、現時点ではBNBチャーンとETHチェーン上で流通しています。現在1億枚が市場に流通しています。
執筆時点では、SISCはBNBチェーン上では、Pancakeswap 、ETHチェーンでは、Uniswapで購入することができます。
また、マイニングにより獲得できるSISCの量は上記のようになっており、総計で10年かけて約5000万枚の発行を行います。残りの5000万枚は10年目以降の発行と今後公表されるGameFi等により発行されます。
これらは、既に市場に流通しているトークンとは別に新しく発行されます。
Shirushi マイニングの仕組みは?
ビットコインのマイニングは10分に1度ブロックの生成が行われますが、しるしマイニングは1日に1度トークンの追加発行の承認が行われます。
1日に発行されるコインは現在は2万枚で、稼働しているしるしマイナーの数に応じて報酬が分配される仕組みとなっています。
そして、1日に1回マイニング報酬の支払いが発生します。
こんな感じですね。報酬はイーサリアムで支払われています。
この画面は、こちらにアクセスしMetamaskと接続することで確認できます。
ここで注目したいのが、支払いの通貨はマイニングするSISCではなくETHで支払われている点です。しるしマイナーはSISCでもマイニング報酬を受け取ることができますが、ETHかBNBの払い出しにも対応しています。
ちなみにマイニングにより獲得したETHやBNBは最低払い出し枚数に達成すると、Metamaskに自動で支払いが行われます。最低払い出し枚数はこんな感じです。
ETH:0.05枚
BNB:0.1枚
しるしマイナーのマイニングリグ管理ページのBalanceにて、獲得したマイニング報酬、これまで支払われたマイニング報酬、次回の払い出しまで後どれくらいの払い出しが必要かが確認できます。
SISCのユーティリティーは?
暗号通貨はトークンの買い手がいない(購入されない)と、価格が上がりません。価格を維持するためには、ユーティリティーの設計が非常に重要です。
では、SISCの使い道は何があるのでしょうか?
SISCのユーティリティー① しるしマイナーの購入
まず、しるしマイナーの購入にSISCが使われます。決済手段としてはPaypalやETHも対応していますが、SISCで購入する場合10%オフで購入することができます。
SISCのユーティリティー② グラフィックボードやマイニングマシンを購入できる
SISCの使い道としては、しるし株式会社の販売するマイニングマシンやグラフィックボードを10%割引で購入することが可能です。Shirushi MinerはSISCのマイニングしかできませんが、これらのマイニングマシンではPoWを採用しているEthereum ClassicやRavencoinなど幅広い通貨をマイニングすることが可能です。
販売ページなどは今後発表する予定のようです。
SISCのユーティリティー③ Crypto Mining Game(GameFi)のアイテム購入に使用可能
SISCはマイニングゲーム内のアイテム購入に使用できます。このマイニングゲームについてはしるし社がオペレーションしていくようですが、まだ詳細は分かっていません。おそらく今後ゲームをローンチするのではないかと思われます。
マイニングの収益
マイニングの収益性はこんな感じです。
マイニング報酬:0.0009ETH(162円)/日 ※1ETH=180,000円として
消費電力:0.008kW×26 40円/kWh×24h=6円/日
利益:156円/日
SISCのレートETHのレートによって変動するので参考程度に見てください。
この商品をおすすめする人
①節税したい事業者の方
しるしマイナーの価格は99,000円です。
法人、個人問わず10万円以下の機材は一括償却可能で、その年に全額経費にすることが可能です。
売り上げが上がり法人税を抑えたい方にはおすすめです。
②不労所得が欲しい方
現時点で原資回収まで2年弱かかります。ただし、原資回収が終わるとそれ以降は完全な不労所得になります。まさに暗号資産マイニングの醍醐味といえるでしょう。
また、ETHもBNBもマイニングできないProof of Stakeの通貨なので、ステーキングしなくてもトークンが入手できるのはしるしマイナーぐらいではないでしょうか?さらに、省電力なマイニング機器なので、SISCの価格が大幅に下落しない限り回しておくことも期待できそうです。
商品購入におけるリスクは?
反対に、リスクはどのようなものがあげられるのでしょうか?
ネット環境関係
しるしマイナーはDHCP接続しないとマイニング動作が不安定になる点です。
DHCP(動的IPアドレス)とは、IPアドレスを管理しているマシンから自動的にネットワークに接続されたマシンのIPを割り当てる仕組みのことです。
つまりマシンに固有のIPアドレスを振り分ける設定が施されていてはいけません。
一般的な家庭で使用しているWi-Fiルータであれば問題ないです。
企業で社外からのリモートアクセスを安全にしたい企業に導入されているルータに接続するとしるしマイナーが稼働しません。
不安な方は、しるし社が代理で運用してくれるサービスにお願いするのも一つの手かもしれませんね。
SISCの価格下落
マイニングの仕組みの章で説明した通り、収益で得れるETHやBNBは新規で発行されたトークンを変換しています。つまり、SISCの価格が上がらない限りETHとBNBの獲得量が減っていくわけです。
さらに、ETHやBNBに変換されるということは新しく発行されたSISCはしるし社運営の元へ入るということです。つまり、万が一運営者がSISCを売りに出した場合強烈な価格下落を引き落とすことが考えられます。
これが起きないよう、SISCホルダーを増やせるようなトークン設計には今後注視していきたいです。
マイニングのやり方
では、ここからはしるしマイニングのやり方について解説します。
始め方は下記2STEPです。
・マイニング機器の注文
・Metamaskと接続し稼働状況の確認
ぶっちゃけ超簡単です。専門知識一切不要です。一つずつ見ていきましょう。
①Metamaskとの接続
マイニング報酬を受け取るためのMetamaskウォレットの作成をしましょう。
インストールの手順が分からない方は、下記の記事を参考に進めてみましょう。
📒MetaMask(メタマスク)とは?使い方とログイン方法をアプリ版・PC版ごとに解説
Metamaskのアドレス作成が完了したら、一旦Metamaskのページを閉じマイニング機器の販売ページにアクセスしましょう。アクセスしたら右上のConnect MetaMaskを押しMetamaskの接続を行います。
これで受け取り用のウォレット設定が完了です。
②マイニング機器を手に入れる
次にマイニング機器の購入です。
ページ左の『Shop』からプランを選択します。
99,000円になるようにドル換算されているので、レートによって表示価格が変動します。
家でマイニングをしたい方は『Purchase』、レンタルをしたい方は『Monthly』または『Yearly』を選択しましょう。
Yealyの方がMonthlyと比べ、2か月分お得な値段設定になっています。
今回は、購入型(Purchase)で手順を解説していきます。
次にマイニング報酬をETH、BNB、SISCで欲しいかを考え機器を選択しましょう。
Metamaskに報酬が支払われるため、受け取った報酬の使用用途やガス代を考えて、購入することがおすすめです。
一度注文すると変更できないので注意が必要です。
Monthly DepositかYealy Depositのどちらかを選択します。これは海外向けのサイトでDepositしか選択できない仕様になっています。(海外で購入する場合は、運用の委託しかできません)日本で購入する場合はどちらを選択しても大丈夫です。日本語対応のサイトは近日中にリリースされるようなので、リリースされたら、このDepositはなくなるでしょう。
支払い通貨を選択します。SISCで支払った場合は10%のDiscountを受けれます。
利用規約に同意したら『I agree』を押しましょう。
注文状況を最終確認したら、Place your Orderでオーダーをします。これで注文は完了です。
※Place your orderを押しても注文が通らないことがあるようです。「この記事を見た」と、しるし社代表あるいは筆者にご連絡ください。
③自宅のルーターとしるしマイナーを接続
しるしマイナーが自宅へ配送されたら、ルーターと接続作業を行います。
しるしマイナーにはLANケーブルがついていないので、購入する必要があります。
自宅に予備のケーブルがある場合は、それを使って頂ければ問題ありません。なければ安くて切れにくいものを買っておきましょう。私のおすすめのLANケーブルを載せておきます。1000円以下で長さも短すぎないコスパ良いやつです。
これをルーターとしるしマイナーに接続し、付属のACアダプターを取り付け電源をONにすればマイニングが開始されます。
稼働の状態は、しるしマイナートップページのWorkerで確認できます。
ここで、しるしマイナーがちゃんと稼働できてるか心配な方はテレビなどのモニターからHDMIケーブルでつなぎ込みして状況を確認してみてください。
HDMIも安いやつで全然OKです。
特にずっと監視する必要はないので、HDMIケーブル購入して、テレビにつなげばいいのですが、どうしても常時モニターで監視したい方やテレビを動かしたくない方は小型のモニターを買うのもおすすめです。(私も購入しました。HDMIケーブルが付属でついてきます。)
最後に
如何でしたでしょうか。今回は最近注目されているしるしマイナーについて解説しました。
現在筆者自身もしるしマイナーを運用していますが、何といってもSISCの価格がいつ下がるかが肝ですね。
通常暗号資産のマイニングはマイニングした通貨が手に入るので、その通貨を売って利益にしていきます。今回の場合はマイニングで獲得できる通貨ではないため市場でその売りが発生しません。悪く言うと運営者や大口の投資家に握られている側面が多いと言えるでしょう。
これを良いと捉えるか悪いと捉えるべきかは分かりませんが、いずれにせよ私はGameFiプロジェクトの進行、トークンの買い手が増えるようなプロモーション、しるしマイナーの購入者の増えていくことを願っています。
良ければ、Twitterのフォローよろしくお願いします。
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