マイナーにとって重要なのは、当然ながらマイニング報酬です。報酬が高いアルゴリズムを選択しマイニングをする、ただそれだけです。現在、GPUマイニングにおいてイーサリアムを獲得できるEthashを選択し使用されることがほとんどではないでしょうか。しかしETH2.0では別のアルゴリズムを変更し、マイニングしなくてはいけません。今回は、今注目されているKawPowの報酬が高いのか、イーサリアムのハッシュレート制限が付いたLHRでRVNをマイニングするのはありか実績を基に解説したいと思います。
目次
KawPowとは
KawPowとは、イーサリアム改善提案(EIP-1057)で提案されたProgPoW(プログラマティックプルーフオブワーク)を利用したアルゴリズムのことを指します。ProgPoWは、ASICに対してマイニング報酬の分配を下げるアルゴリズムに変更するアルゴリズム提案で、ASICでのネットワーク独占化を防ぐことともに、GPUマイナーを増やし真の分散化を目的としたものです。
結果としてイーサリアムでの実装はされませんでしたが、現在ではレイバンコイン(RVN)がこのアルゴリズムを採用しています 。レイバンコインを知らない方や、マイニング方法を知りたい方は下記の記事をチェックしてみてください。
EthashとKawPow
では、現在主流のEthash(ETH)とKawPow(RVN)ではどの程度報酬差がでるのでしょうか。筆者が検証してみたので、獲得したマイニング報酬を比較していきます。加えて、LHRのグラボではEthashとKawPowではどちらを選択しマイニングするべきかについても解説します。
検証環境
検証環境:同じPCを2台用意(RTX3070搭載※非LHR)
稼働期間:11日間
検証方法:UnmineableでEthashとKawPowを選択。換金レートを一律にするため、ETHやRVNとは違うコイン(ADA)で払い出し設定
検証は、精度を上げるため全く同じPCを2台用意しました。プールFeeやサーバーも一律にするため、同じマイニングアドレスを選択し、払い出しの金額に手数料やrejectの誤差が生じないよう極限まで配慮しています。
Unmineableを初めて聞いた方は、こちらの記事をご確認ください。
収益比較
マイニング報酬比較 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 | 6日目 | 7日目 | 8日目 | 9日目 | 10日目 | 11日目 | Ave. |
Ethash(円) | 307.3 | 379.6 | 339.9 | 367 | 382.2 | 335.3 | 335.4 | 385.1 | 297.6 | 338.4 | 266.7 | 339.5 |
LHR 換算 | 215.1 | 265.7 | 237.9 | 256.9 | 267.5 | 234.7 | 234.8 | 269.6 | 208.3 | 236.9 | 186.7 | 237.7 |
KawPow(円) | 244.4 | 229.1 | 279.1 | 234.5 | 235.1 | 226.7 | 226.5 | 234 | 229.5 | 228.5 | 235.2 | 236.6 |
ADA市場価格(円) | 245.9 | 243.7 | 247.2 | 249.2 | 250 | 234.7 | 235.2 | 231.7 | 240.2 | 249.6 | 251.3 | 243.5 |
上図は、EthashとKawPowのアルゴリズムを選択し、11日間マイニングした際の日本円換算での報酬記録です。Unmineableでマイニングし、ADAで受け取っているため、記録した時間でのADAの市場価格を記載しています。
このグラフから、検証期間中の報酬結果の平均をとると、Ethashの方が44%報酬が高いということが分かります。
さらにこの報酬結果を基に、イーサリアムのハッシュレート制限がかかっているLHRのグラフィックボードを使用し、通常の70%のハッシュレートでマイニングした場合を計算すると、237.7円/日となり僅差でEthashでマイニングしたほうが収益性は高いということが分かります。
イーサリアムの方がマイニング報酬は高いからEthashの方が良いというのは結果として出たのですが、とはいえ1円とかの誤差なので、使用するグラフィックボード、通貨の市場価格、Difficultyなどによって異なるのでほぼ同じと考えていいと思います。
ここまでで、EthashとKawPowのおおよその報酬差が読み取れたのではないでしょうか。
再度まとめると・・
・現状レイバンコインよりイーサリアムの方が44%マイニング報酬が高い
・LHRのグラフィックボードでは、RVNとETHの報酬は報酬に有意な差はなし
こんな感じです。
報酬の差をざっくり知りたかった方はここまでで記事を閉じていただいて問題ありません。
ここからはさらに細分化して、市場価格と、Difficultyによる影響も加味しつつ分析していきます。先ほどの結果からもわかる通り、LHRのグラボでは、EthashとKawPoWでのマイニング報酬の差は極僅かです。この影響を考慮しない限りLHRのグラボでは、いつRVNをマイニングするべきか判断がつかなくなってしまいます。
次章を読むと、以下のことが分かるようになります。
・Difficultyと市場価格の2つの値を確認し、LHRのグラフィックボードでEthashかRVNをマイニングするかどちらの報酬が高いか判定できるようになる。
気になる方のみ続きをお読みください。(LHRモデルを使用しているマイナーの方には、かなり有益な情報ではないかと思います。)
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